ヴァイオリニスト 田久保友妃

Classic/Jazz Violinist, Arranger

2nd Album "MONA LISA"       →EnglishENGLISH PAGE

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2020年3月14日…【ライナー・ノーツ全文】を追加しました

MONA LISA

YTVS-0002

1. Have You Met Miss Jones? (Richard Rodgers)
2. モナ・リザ (Ray Evans & Jay Livingston)
3. Andante from Sonata No.2 (Johann Sebastian Bach) 
4. Hash-a-Bye (Traditional)
5. Work Song (Nat Adderley)
6. How High the Moon (Morgan Lewis) ☆
7. シェルブールの雨傘 (Michel Legrand) ☆
8. キサス・キサス・キサス (Osvaldo Farres)
9. 花は咲く(JAZZ ver.) (Yoko Kanno)
10. スイングしなけりゃ意味がない (Duke Ellington)

 

レコーディング・メンバー

ヴァイオリン・ヴィオラ 田久保友妃
ピアノ・監修 越山満美子
ベース 光岡尚紀
ドラムス 岩高淳
☆ゲストピアノ 髙橋俊男

メンバーより一言…

ベース 光岡尚紀さん より

このアルバム一枚の中にジャズを基調として、本当に沢山の音楽の要素が詰まってます!
ジャズが好きな人はもちろん、ジャズに馴染みがない方にも楽しんでもらえる作品ですので、
是非とも多くの方に聴いてもらいたいです!

ドラムス 岩高淳さん より

今回のアルバムはメンバー皆で意見を出し合いながら作りあげていけて、とても良いものになったと思います。
大先輩、高橋俊男さんとの録音もできて感無量です。
多くの方に聴いていただけたら嬉しいです!


ピアノ 越山満美子さんにはロングインタビューを敢行!
アルバム制作秘話だけでなく、「サウンドプロデューサー越山満美子」の素顔にも迫りました!

↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
【サウンドプロデューサー越山満美子 インタビュー】



 

解説

イタリアにこんな小噺がある。
「悪戯な悪魔が人間を惑わせるために、わざとこの世に残していったものが3つある。ヴァイオリン、鏡、そしてモナ・リザ」
 イタリア人はヴァイオリンに悪魔性を見出すのが好きなようだ。悪魔と契約してヴァイオリンの素晴らしい作品や超絶技巧を手に入れたなんてエピソードは事欠かない。鏡は自分自身を映し出すもの。そして、モナ・リザ。
彼女は“謎”そのものではないだろうか……

 理想の女性像ともされるモナ・リザの“謎”について考え始めたことから、本作のアルバムのテーマは「女の運命」に決まった。私は音楽を演奏するとき、楽譜を分析したり技術的に練習するということはもちろん、「自分はこの曲を通して何を表現したいか」をまず考える。ジャズ・スタンダードとなっている曲のほとんどには歌詞があり、タイトルや歴史的背景からもテーマを汲み取ることができる。今回の収録曲を選ぶにあたり、まず候補曲を並べ、各曲のテーマを自分なりに明確にすることから始めた。ジャズの成り立ちや当時の歴史ももう一度考え直し、その上で心から自分の思いを投影できると感じたのがこの10曲である。

 音楽の醍醐味は、音でどんな役柄でも演じることができることだ。カッコいい女も、微笑みを浮かべる謎の女も、慈愛に満ちた母性的な女でも。どこまでがリアルでどこまで嘘かはご想像にお任せすることにして、それぞれの10曲で私が演じたのはこんな女性たち。彼女たちが、今現在の私が本作で演奏した10曲に対しての解釈そのものである。

Tr.1 「クールな女」運命の女
Tr.2 「微笑む女」聖母性
Tr.3 「夫を見つめる女」音楽の父・大バッハを見守り続けた二人の愛妻
Tr.4 「子を抱く女」母の子守唄
Tr.5 「運命の中の女」まあ、運命の岩も自分でぶっ壊しそうだけれども
Tr.6 「恋する女」恋する人間は空を見上げる
Tr.7 「待つ女」ただし待ちすぎたらキレる時もある(次の曲参照)
Tr.8 「問い詰める女」あなたはいつも煮え切らないことしか言わない
Tr.9 「祈る女」復興のシンボルを新しい形で
Tr.10 「ジャズをする女」スイングしなけりゃ意味がない

 そして裏テーマとして、今回のテーマは「ジャズ」だけど、クラシックの奏法もジャズ奏法もポップス奏法も、およそヴァイオリンという楽器が持つすべての可能性を垣根なく駆使して「ヴァイオリンでどうやってジャズするか」を徹底的に詰めることにした。

 例えば ①Have You Met Miss Jones? は初めて出会ったとき、なんとヴァイオリンで弾きにくい曲だろうと思った。Fメジャーというキーもそうだし、Bメロのコードなんか元々シャープ系の楽器であるヴァイオリンには拷問のようなコードが連発される。でも、何とかヴァイオリンでカッコよく弾いてみたい。越山満美子さんのアドバイスを得ながら、高橋俊男さんのセッションに通い詰めてトライアンドエラーを繰り返し、自分なりに煮詰めてみた。この曲の歌詞は、主人公の男性がジョーンズ嬢を「一目見たら息もできないくらい」恋に落ちてしまった、なんて内容の曲だ。ジョーンズ嬢、一体どれほどのイイ女なのかと思うけれども、私が思う彼女は、自分の稼ぎで買ったハイヒールを履いて堂々と歩く「最高にクールな女」だ。「とにかく、クールに」をキーワードにレコーディングを進めたオープニングナンバー。ちなみに今回採用したセカンド・リフはご存知"Confirmation"のもの。このリフが入ったら絶対イケてる気がしたのだが、いかがだろうか。
 逆に ②MONA LISA ではこれまでクラシックのオーケストラや弦楽四重奏を弾いてきた感覚で、クラシカルなストリングスのアレンジを書き、「全部本人」のストリングスを入れた。
 ③Andante では、ここ数年クラシックのレパートリーとしてメインで取り組んでいるバッハの無伴奏ヴァイオリン作品から一曲、ジャズ・スタンダードスタイルの定番を生み出したくて(『G線上のアリア』のように)メンバーの力を借りてジャズにアレンジした。無伴奏パートは教会の天井から降る天使の声を模し、それがいつの間にか影響を与えて地上のライブステージでもジャズバンドによる演奏が始まった……、そんなイメージで構成している。
 クラシックの無伴奏作品の技法を活かしたら、ヴァイオリン・ソロでもジャズが演奏できて良いのではと思いアレンジしたのが ④Hash-a-Bye。チャールダーシュに代表されるバラードの形式で、語りかけるようなルバートから始めた。候補曲は他にたくさんあったが、無伴奏ヴァイオリンに一番しっくりきたのがこの曲だった。
 「ヴァイオリン独演会」と銘打ったソロプロジェクトを2015年に立ち上げた。その活動の一環としてジャズ・スタンダードやポップスを無伴奏ヴァイオリン用に編曲する活動をしている。今年2020年からそうしたオリジナルアレンジの楽譜販売をアメリカのSheetMusicPlus.comのサイトで開始した。このHash-a-Byeの楽譜も近日追加するので、ぜひ併せて参照して頂けたら幸いである。
 ⑤Work Song では技術的にあまり凝らず、それよりもジャズの歴史の奥底にある魂の唸り声のようなものを表現しようと試みた。この曲はジャズの歴史の中でも大変重要かつデリケートな内容だと考えている。中間部がAmazing Graceになるのは、私なりのWork Songへのアンサーソングだ。Amazing Graceには有名なエピソードがあるが、私は長年その内容にモヤモヤしたものを感じていた。命を救われ奇跡に感謝した者がいる一方、もう一方に目を向ければ、まだ奴隷たちの歌うWork Songが鳴り響いていたのではないか。そんな思いを込めて、「Amazing Graceで終わるのではなく、一度明るいAmazing Graceが鳴った後に再びWork Songに戻る構成にしたい」と希望してこのアレンジをバンドメンバーと練っていった。自分の恋人が、差別的に5年の強制労働判決を受けたらたまったものじゃない。だが、もしもそんな過酷な運命が降りかかったとしたら、自分の力で運命の岩をぶっ壊すような強さを持っていたいとも思う。ライブステージだったらここまでがファーストステージ。
 続いてはゲストピアニストの登場である。 ⑥How High the Moon⑦シェルブールの雨傘 のテーマは「vs髙橋俊男ストレート勝負」……といいつつ、実は万全の準備をして備えていた。だが髙橋さんときたら当日になって、新アレンジ(最高にカッコいいが超難しい)で攻めてきた。リテイク不可の環境で顔を真っ赤にしての即興合戦。必死のパッチだったが、「それがジャズや」とピアニストの背中が語っていた。
 そして、日本でも大ヒットした ⑧キサス・キサス・キサス のテーマは男女の口論。やや苛立っている女(ヴァイオリン)に対して、あくまで飄々と受け流す男のような光岡さんのクールなベースにもご注目。
 ⑨花は咲く はご存知東日本大震災の復興ソング。この曲の著作権使用料は作曲者と作詞者の厚意により復興義援金として寄付されている。ということは、この曲を演奏会で取り上げたり、収録されたCDを買ったり(もちろん本作もそう)することが復興支援になる。素晴らしい取り組みだと思い、そのことを知ってから演奏会で取り上げることが増えた。そして今回もう一つの野望。何なら素敵なジャズアレンジによってこの曲の新しい演奏スタイルが生まれたら、もっと演奏されるシーンが増えるかも。ということで越山さんに相談したら、私がジャズワルツに書き換えたこの曲を更にリハーモナイズ(メロディはそのままに和音を変化させること。リハモが活きるということは、メロディの美しさの証明でもある)してくださった。
 そして、最後の一曲はストレートなジャムセッション・スタイルで ⑩スイングしなけりゃ意味がない

 セカンドアルバムになる本作には企画からレコーディングまで一年以上の時間を費やした。今まで弾いたことのない技法もたくさん試しては捨て、新しくトライしてはやり直し……、その結果、今の私が表現し得るヴァイオリンの可能性は全部出し切ることができたと思う。ひとえに、ピアノ演奏だけでなく全体のプロデュースまで快く引き受けてくださった越山満美子さんをはじめ、ベースの光岡尚紀さん、ドラムスの岩高淳さん、そして大御所ながらとても気さくにゲストを快諾して頂いた高橋俊男さん達あってこそ。そして、前作に引き続き最高のレコーディング環境を整えてくださったPRESSTONEの皆様と愛する母校大阪音楽大学のレコーディングスタジオにも、そして彼女がいなければ私の演奏活動は成り立っていないという存在、前作から引き続きデザイナーの矢島杏美さん。他にも様々な形で支えてくださった方々の存在があってこそ実現した作品だった。感謝に堪えません。ありがとうございました。
2020年3月 田久保友妃




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2020/02/07 Recording Member

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MONA LISA

1. Have You Met Miss Jones? (Richard Rodgers)
2. Mona Lisa (Ray Evans & Jay Livingston)
3. Andante from Sonata No.2 (Johann Sebastian Bach) 
4. Hash-a-Bye (Traditional)
5. Work Song (Nat Adderley)
6. How High the Moon (Morgan Lewis) ☆
7. I’ll Wait for You (Michel Legrand) ☆
8. Quizas, Quizas, Quizas (Osvaldo Farres)
9. Hana wa Saku "Flowers Will Bloom" (Yoko Kanno)
10. It Don’t Mean a Thing (Duke Ellington)

 

 

Recording Member

Violin / Viola... Yuki TAKUBO
Piano / Producer... Mamiko KOSHIYAMA
Double Bass... Naoki MITSUOKA
Drums... Atsushi IWATAKA
☆Guest Piano... Toshio TAKAHASHI

 

ALBUM NOTES

My first impression with HAVE YOU MET MISS JONES? (Tr.1) is "What a awesome tune it is! But not for Violins..." Because it's original key is in F major, moreover the chord progression in the B section is too hard for Violins. But I wanted to beat it with style. Mamiko, the pianist gave me some tips for Violin solo. Plus I became a regular visitor for Toshio Takahashi Piano Trio's jam sessions. After trial and error finally this tune became my repertoire. In this take, we inserted a second riff for CONFIRMATION you know, beacuse I find that this one is very nice for Atsushi, the drummer's solo.

Oppositely, I arranged the strings in very classical style for MONA LISA (Tr.2). The strings was overdubbed by myself and this is first time for me to play Viola.

ANDANTE (Tr.3)  is from Solo Violin Sonata No.2 by Johann Sebastian Bach. Bach's works for Solo Violin are my favourite in classical pieces. And I'd like to play it in swing jazz style like "Air on G string". I played solo part with few vibrato for religious sound and tried various trill (because of respect for JSB!) instead of no pitch bend in swing part.

HASH-A-BYE (Tr.4) for Solo Violin is my original arrangement work. Recently I'm doing a lot of work on Solo Violin for other than classical music, for example Rock'n'roll or Jazz. If you have any interests with my arrangement work, you can find the sheet music on SheetMusicPlus.com Check it out!

In WORK SONG (Tr.5), you can hear the melody from another tune AMAZING GRACE. That is ansor song from me to WORK SONG. I think that I can't finish WORK SONG with AMAZING GRACE. It must repeat to WORK SONG after AMAZING  GRACE. Because work songs are moanin' from slaves. The work songs must go on, I imagined.

So, that's all for first stage if it was a live performance.
Opening of second stage, finally Toshio Takahashi, guest pianist will coming!

Recording of HOW HIGH THE MOON (Tr.6) and I'LL WAIT FOR YOU (Tr.7) was fulfilled thrills and so excited! I and Mr.Takahashi played in jam session style. It means that we CAN'T retake and any retouch! Mr.Takahashi showed me that "This is the JAZZ, isn't it?"

I sat the theme for QUISAS, QUISAS, QUISAS (Tr.8, "Perhaps, Perhaps, Perhaps") is "a Quarrel of her and him". My violin roled "she" and Naoki, the bassist roled "he" with stylish his bass. 

HANA WA SAKU (Tr.9, "Flowers Will Bloom") is supporters' song for the Tohoku earthquake in Japan (2011). I'd like to play this symbolic music of reconstruction with new Jazz style. At first I changed it in Jazz-Waltz style, after Mamiko it reharmonized.

Last tune is IT DON'T MEAN A THING (Tr.10) with straight jam session style. "It ain't got that swing"!

Because of my father (he plays Jazz piano), I played also Jazz not only Classic from my childfood. Sometime I lost love with Jazz, but now I'm falling love with Jazz music! This album is "THE MY JAZZ" compilation.

Special thanks to
Mamiko,Naoki, Atsushi, Mr.Takahashi, recording engineers, Kyomi, the designer, my friends and family, and you!

Yuki Takubo, March 2020

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